ワクワク☆吉利『もっとはやく人間になりたい』

日記。絵日記。エッセイ。漫画。小説。つぶやき。おやらかし珍道中。旅日記。ゲーム。突撃潜入。実験。その他もろもろ。よろずな内容でお送りする馬鹿ブログ、馬鹿日記です。

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 それから毎日、私は次の雪が降るのを心待ちにすることになった。

 雪さえ降ればまた冬輝に会える、と浮かれて、樹氷を探すのも忘れた。



 そのせいか、初めから幼い私には抵抗しようもないことだったのか、次の雪が降る前に私は引越しをしてしまい、冬輝との約束は果たされることがなくなってしまった。

 何故なら私の引越し先はあの町よりもずっとずっと南で、雪が降ることのない所だったから――。


















 けれども今、あの時の約束は果たされたんだわ。



 初恋が実ったような、そんな年甲斐もない浮かれた気分で私は映画を観終えた。

 銀幕の向こうで私に手を振っていた彼は、アングルが変わった瞬間に消えてしまったが、それでも私の脳裏にはあの時のままの、胸の奥を擽るような冬輝の笑顔が残っている。


 突然機嫌が良くなった私に夫は訝しげな顔をしていたが、桜の木公園の前に差し掛かった所でそっぽを向きながら私に手を出した。



 何だろう? と見ていると






「ほら! 手……繋ごうか」





 何を思ったのやら。

 呆れながら、そして照れながら私は夫の手を取った。





 その時、風に煽られて私達へと降り注いでいた桜の花びらの一枚が私の唇を塞いだ。





 その感触は花の温かそうな薄桃色とは裏腹にひんやり冷たい。
 けれどもその薄さ故にそれはすぐ唇の温もりと同化してしまい、まるで消えたように存在を無くした。






 それはさながら儚い淡雪のようで、我知らず笑みがこぼれた。











「うふふ」 




~終~
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 夜の闇に紛れてしまうことなくぼんやりと浮かび上がる雪の白は、勝手知ったるはずの町を昼とは全く別のものにしていて、私は寒さで痛む鼻を擦りながら右往左往した。



 もう家の前に辿り着いてもいいのに……ここは一体どこら辺だろう?



 どかどか降って来る雪に覆われ、丸みを帯びた家々のシルエットはどれも同じに見え、私は困惑した。

 手足の先があまりの寒さに感覚を無くし始め、こんなことなら家で大人しく寝ていれば良かったとしくしく泣き出した私の肩を誰かが叩いた。







「こんな時間に、こんな所で何をしているんだい?」






 振り返ると、怪訝そうに首を傾げてこっちを見ている少年がいた。

 心細さにどうにかなりそうだった私は、小躍りしたい気分で少年に事情を話した。彼はしゃっくりで頻繁に途切れる私の話を根気よく聞いてくれ、そして家まで送ってくれると申し出てくれたのだった。




 安堵し、ようやく冷静になった時、私は彼がずいぶんと不思議な格好をしていることに気が付いた。


 この寒い雪の日に、何故か薄い白のワイシャツ一枚で、白いズボンから突き出た足は何も履いておらず、裸足だったのだ。




 寒くないの? と訊ねた私に、彼は平気と微笑んで答えた。



 幼かった私は本人がそう言うのならそうなのだろうと納得したが、それでも隣に立って歩く人が薄着なのを見ていると自分が寒いような気がしてきて、私は半ば強引に自分の赤い手袋を彼に貸してあげた。
 彼は一瞬だけ不思議そうな表情を浮かべたものの、すぐに受け取って嵌めて見せてくれた。



 暖かいね、とにこにこしながら。








 この坂を降り切った所が君の家だよ、と言って真っ白な前方を指差し立ち止まった彼の髪に纏わりついている、綿毛のような雪に目を奪われていた私は、このまま彼と別れるのが惜しくなった。
 何しろ十年も同じ町に住んでいながら、彼の顔を私は初めて見たのだ。名前も知らない上に家がどこにあるのかも分からない。
 
 これは由々しき状態であるように当時の私には思えた。だから私は訊ねたのだ。





 あなたの名前は?

 また会える?




 と。




 
 彼は見知らぬ女の子にそんなことを訊かれて酷く驚いたのだろう。開いた目に雪が入ってしまうのではないか、思わず心配になってしまうほど目を丸くして私を振り返った。


「……僕の名前は冬輝。ふゆきだよ。家はこの町じゃないんだ。だから……また君と会えるかどうかは分からないや」


 それを聞いて私はがっかりした。
 いや、それどころではない。それまで生きてきた中で一番と言っていいほど、悲しくて堪らなかった。




 ついさっきまでは、慣れ親しんだこの町を離れなければならない自分は世界一不幸で可哀想な人間だと思っていたのだが、冬輝に二度と会えない自分のほうが宇宙で一番哀れなように思えた。
 再びしくしく始めた私に同情したのか、単に泣き止んでもらいたかっただけか、冬輝はじゃあ、と口を開いた。



「次に雪が降った時に、また会おう」



 嬉しくなって顔を上げると、私の吐いた真っ白な吐息の向こうで冬輝は微笑んでいた。





 次に雪が降った時、また会おうね! 絶対よ! 絶対の絶対よ!





 私はしつこく念を押して約束を取り付け、彼が指差した方へと走り出した。

 急かされた訳ではなかったのだが、そうせずにはいられないほど私は何だか浮かれていたのだ。当然、踊るような足つきで駆けていた私は柔らかい雪に足を取られて転んだ。

 走っていたことと下り坂だったことで、みっともなくも私はそのままごろごろと坂の下まで転がり落ちた。




 冬輝は見ていたかな? 見られていたら死ぬほど恥ずかしいな。きっと見ていただろうな。



 そう思いながら恐る恐る転がってきた方を見上げると、そこには坂はおろか道すら無かった。私の家の物置があるだけだった。



 おかしいな? 坂が見えなくなるほど長い間転がっていたのかしら? と首を捻りながらも、私は家のドアを開けたのだった。
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「リバイバル映画を二人で観に行こう。待ち合わせは二時。桜の木公園で」



 何の気紛れか、定年間際な夫の朝食時の発言によって、私は一人、花見をするはめになった。夫が約束を守らなかったのだ。
 だが、いつものことだったので私は大人しく待ち――結局一時間弱も待った。
 やっと現れた夫は、詫びもしないでただひたすらに私を急かした為、幸か不幸か夜の上映時間には間に合い、こうして暗い部屋の中で肩を並べることになった。

 固い背もたれにふんぞり返った夫は、瞳を輝かせて銀幕を凝視しているが、私は映画を楽しむ気分になれなかったので虚空を見つめてぼうっとしていた。





 何だか、とても悲しかった。




 待たされたことが悲しかったのではないと思う。何故なら、この身勝手で亭主関白な夫とは三十年も連れ添っているのだ。いい加減私自身慣れる、諦めるというものだろう。




 それなら、何故私はこんなにも……傷ついているのだろう? 




 自分でも分からない。
 けれども私はとても大切な約束を誰かとして、そしてその約束が守られなかったような、そんな苦い思いを味わっていた。

 自分で思っている以上に、私はいつもいつも自分勝手な夫の行動に傷ついていたのかもしれない。そう思って隣を睨んでやったが、夫は映画に夢中なようで私の視線に気付かない。腹が立ったが、そんなに面白いのかとも興味が湧き、私もスクリーンに目をやる。



 とても古い作品なのだろう。時々黒い線がちらちらとする、白黒の映画だった。

 舞台は雪国のようで、画面は圧倒的な白で埋め尽くされている。そんな白い世界に、男と女が何やら囁きあっている。愛の告白のようだ。



  食い入るように観るほど面白いものではない……と思うのだけれど。



 しかし夫は銀幕に穴でも開けるつもりなのか、目を皿のようにして前を見つめている。




 もう家に帰りたい。



 
 正直、私は夫にも映画にも辟易していたのだが、こうして映画館に居る今、帰りたいと言っても聞き入れられないことは明白だったので、絵を見るように私は白に支配されている銀幕を眺めた。
 泣き出しそうな気持ちで見ることしばし……一体それから何分、何十分経った頃だったか。不意に銀幕の隅に赤い物が現れた。


 初めはフィルムにゴミでも付いているのだろうと思っていたのだが、そうではなさそうだった。



 それは何故か現れてからずっと左右に揺れているのだ。



 不思議に思ってじっと見つめていると、それは徐徐に大きくなっていき、最終的に小指の先くらいになった。

 そうなって初めて私はそれがただの赤い点ではなく、雪原の地平線に佇む誰かの手に嵌まった赤い手袋なのだと気付いた。気付いた瞬間、私は思い出した。

――十歳まで、私は雪がよく降る町に住んでいた。


 雪道を上手く歩くことも、真っ白い世界で遊ぶことも得意だった。けれども私はあの町を引越さなければならなくなり、それがどうしても嫌だった私は……私は?
















「僕の名前は冬輝。ふゆきだよ」











 鮮やかに甦る、少年特有の澄んだ高い声。

 そうだ。樹氷が出来る所を見られたら何でも願いが叶う、と言う他愛も無い子供の噂を信じ、私は夜遅く家を抜け出したのだ。そして何故か自分の暮らしていた町で迷子になった。

 その時私を助けてくれたのが冬輝だった。
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金曜日、夜にロックなマスターがやっているバー

GINA

で、いつもカワイイ♪ジェニーさん(カウンターからホールまでいつもお世話になってます)のお誕生日パーチーをしたよ!

パーチーと言っても、手作りラザニアやらおつまみやらをプレゼントしただけだけど❤

しかも、うちの手作りじゃないっていうwww


いいの!
愛だけはこもっているから!


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ブログ、新しくまた始めてしまったよ……


だって、アフィリエイトじゃなくしたかったんだもん!
でも前のブログも消したくなかったんだもん!
だって記事移すのめんどかったから!




他ブログやサイトもリンクに詰め込んでみたけれど……

全部を一括管理ってどうやるのかな;

グーグル先生に聞いてみよう@3@
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