ワクワク☆吉利『もっとはやく人間になりたい』

日記。絵日記。エッセイ。漫画。小説。つぶやき。おやらかし珍道中。旅日記。ゲーム。突撃潜入。実験。その他もろもろ。よろずな内容でお送りする馬鹿ブログ、馬鹿日記です。

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 それから毎日、私は次の雪が降るのを心待ちにすることになった。

 雪さえ降ればまた冬輝に会える、と浮かれて、樹氷を探すのも忘れた。



 そのせいか、初めから幼い私には抵抗しようもないことだったのか、次の雪が降る前に私は引越しをしてしまい、冬輝との約束は果たされることがなくなってしまった。

 何故なら私の引越し先はあの町よりもずっとずっと南で、雪が降ることのない所だったから――。


















 けれども今、あの時の約束は果たされたんだわ。



 初恋が実ったような、そんな年甲斐もない浮かれた気分で私は映画を観終えた。

 銀幕の向こうで私に手を振っていた彼は、アングルが変わった瞬間に消えてしまったが、それでも私の脳裏にはあの時のままの、胸の奥を擽るような冬輝の笑顔が残っている。


 突然機嫌が良くなった私に夫は訝しげな顔をしていたが、桜の木公園の前に差し掛かった所でそっぽを向きながら私に手を出した。



 何だろう? と見ていると






「ほら! 手……繋ごうか」





 何を思ったのやら。

 呆れながら、そして照れながら私は夫の手を取った。





 その時、風に煽られて私達へと降り注いでいた桜の花びらの一枚が私の唇を塞いだ。





 その感触は花の温かそうな薄桃色とは裏腹にひんやり冷たい。
 けれどもその薄さ故にそれはすぐ唇の温もりと同化してしまい、まるで消えたように存在を無くした。






 それはさながら儚い淡雪のようで、我知らず笑みがこぼれた。











「うふふ」 




~終~
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2012/05/06(日) 19:06:04 | | # [ 編集 ]
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まとめtyaiました【薄紅粉雪3】
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2012/05/02(水) 17:26:10 | まとめwoネタ速neo
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